年金制度について整理してみる

仮にも社会保険労務士という年金制度の専門的な立場にありながら、年金はとにかくややこしいので正直苦手です。(注意:他の労働保険、社会保険が得意というわけではない)

ですが、やはりマスコミで盛んに喧伝されている内容よりは、深く理解しているつもりなので、復習も兼ねて、再度考え直してみました。

※ざっくりとした把握を目的にしてますので、色々と細かいところは語弊があるかもしれませんが、ご了承くださいませ。

※※私は30代の人間なので、ある意味で若者世代の視点が入っていると思います。そのバイアスは除去できませんので、加えてご了承ください。

年金の基本

年金って何かと言うと、保険なんです。
保険というからには何かに備えているわけです。それは何か。

年取ったり、障害になったり、亡くなったりして、「働いて収入を得ることができなくなること」に備える保険です。

そして、日本の年金は賦課方式になっているので、現役世代が納めた保険料がほぼそのまま年金世代に渡っています(ただし、税金が半分くらい投入されてます)。

年金の100年安心プラン

平成16年の改正で、永久均衡方式から有限均衡方式に制度が変わりました。これが100年安心プランです。

何が変わったかと言うと、元々は永久に財政の均衡を図る(=赤字にならないようにする)方式だったものを、概ね100年間で財政の均衡を図る方式とすることにしました。

具体的なことは、少し調べてもらうと分かりますが、間違いなく国会で言われているような「100歳まで生きていても安心」なプランではありませんね。

一体いくら年金をもらえるの?

高橋洋一先生の本が分かりやすかったので、これを基にざっくり説明すると、年金は40年間納めて、20年間で受け取る仕組みになっています。

まずは国民年金で確認してみましょう。

現在、国民年金は満額で780,900円を年額で受給できます(ここから物価変動分が考慮される)。これを20年受け取ると考えると…
 20年間の受給額:780,900円×20年=15,618,000円

一方で保険料の額は17,000円が月額かかります(ここから保険料改定率がかけられる)。40年支払うとすると…17,000円×40年×12ヶ月=8,160,000円。さらにこれにほぼ同額の国庫負担がありますので、
 40年間の保険料:8,160,000×2=16,320,000円

多分、世代間で微妙な調整(今受け取っている額と今払った額を比較するのがそもそもおかしい)がなされた結果だと思いますが、概ね一致しますね。

厚生年金はもっとややこしい

続いて厚生年金を考えたいと思いますが、こちらは毎月納める額が人によって異なるので、ちょっとややこしいです。更に、共済組合やら基金やらがあり、複雑怪奇…

でも考え方の基本は先ほどと変わりません。40年間納めた額を20年間で受け取るです。もう少し細かく言うと、納めた額は現役時代の平均収入を考えます。

平成15年の改正によって計算式が異なりますし、ここではざっくりとした計算で考えると、仮に30万円が平均収入だった場合…
 40年間の保険料:300,000×20%(保険料率、これを労使折半)×480月=28,800,000円

貰える金額は、この早見表で見ると、
 20年間の受給額:790,000×20年=15,800,000円
これに先ほどの国民年金分が含まれますので、
 15,800,000円(厚生年金)+15,618,000円(国民年金)=31,418,000円

ちょっとだけ、こっちも微妙な調整がなさる結果で誤差が出てますね。
イメージとしては、現役時代の平均収入の4割~5割位を年金で受け取れる計算になります。

細かいことは、誕生月に送られてくる、ねんきん定期便で確認しましょう。これまで支払った保険料の額と、この実績から受け取ることのできる年金額が記載されてます。

ということは…?

繰り返しますが、年金は40年間納めて、20年間で受け取る仕組みになっています。それ以上でもそれ以下でもありません。納めた額がたくさんあったら、年金だけで生活できるかもしれませんが、そもそもそんな多額の保険料も納めていないのに、「年金だけじゃ生活できない!」「95歳からは死ねというのか!」とか、勘違いも甚だしいですね。

受給開始から20年以上生きる人は年金はかなりお得ですね。一方で、20年未満でなくなる方は損します。

というか、それが保険ですよね。自動車保険を考えると、事故した人は保険料より多くの保障が受けられますが、事故しない人は保険料が返ってきません。ですが、万が一事故したときのことを考えて、保険に加入するわけです。

年金も同じで、長生きに対する保険とも考えられます。だから、95歳まで長生きしていても年金が出ている人は、納めた額以上に返ってきている、お得な状態かと思います。

また、受給から何年生きるかというのは、平均寿命が延びていくと、当然つじつまが合わなくなります。だから受給開始年齢が徐々に延びるのも、制度を守るためには仕方ないですね。

年金制度は、徴収と受給のバランスを見て、保険料率を上げていき、平均寿命を見て受給開始年齢を上げていけば対応できる、極めてシンプルな制度です。経過措置がたくさんあるからややこしいだけです。

だから年金制度は絶対に破綻しないと断言できます(冒頭と言っていることが違いますが…)。

おまけ

せっかく読んで頂いて、年金制度に安心感をもって頂けたとしたら、少しはオトクな情報をご提供したいと思います。

20歳以上の大学生のお子さんがいらっしゃるご家庭、もしくは自分が30歳前後くらいまでの方限定のお話ですが、おそらく学生の間は保険料を納めない学生特例免除という制度を利用していたと思います。

この保険料は代わりに親が払ってもいいですし、自分で追納という形で10年以内に納めることが可能です。

そこで、お子さんの保険料を代わりに払う、もしくはご自身が働き始めてから後から払うというご提案です。

働いていて収入がある方が社会保険料を納めるとどうなるのか。
年末調整の際に、保険料控除に使えます。
するとどうなるのか。課税所得額がその分だけ減るので、結果的に所得税を節税できます。そして、もちろん将来的にもらえる年金額は増えます。

働いていると所得税率って10%~くらいありますから、払った額の10%が節税ってかなりお得ですよね?追加加算額もたかが知れているので、それを考慮しても、まだまだお得です。

ちなみに公式にも認めてる話なので、ぜひお考えくださいませ。

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