みずほフィナンシャルグループが、希望する従業員に対して、週休3日あるいは4日とすることを認める制度を導入することを発表しました。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64708340X01C20A0EE9000/
(「みずほが週休3~4日制 希望者、自分磨く時間に」日本経済新聞、2020/10/7 10:37)
労働時間で考えると、5日が4日、あるいは3日と2~4割の減少幅ですが、休日数から考えると、2日が3日あるいは4日と、5割増し~倍増ですので、インパクトは大きいですね。
休日数を増やす施策は、これまでいくつかの企業でも見られていましたが、例えば1日の労働時間を増やし、週当たりの労働時間は従前と変わらない程度を確保する、という制度が一般的でした。
今回のみずほ銀行の施策は、給与の減額幅から考えると、1日当たりの労働時間はこれまでと変わらず、結果的に増やした休日分労働時間が短くなる、ということになります。
■人件費の削減としての側面
現在金融業界は、まさに岐路に立っています。長引く低金利政策により、利ザヤが稼げなくなり、各行様々な対応を迫られています。加えて、地銀の再編も進むとみられています。
このような状況下ですので、この制度を導入する前提として、間違いなく考えられるのは、企業の中で人が余ってくるだろうという想定です。もし全従業員が週休4日を選択しても、何とかなるということなのでしょう。
さらに踏み込んでいえば、多くの従業員がこの制度を使うようになれば、リストラ等の人員カットを行わなくても、適正な労働力に低減できるという思惑も間違いなくあるはずです。
ただし、この点は多くの方が触れている論点ですので、これ以上あまり深入りしません。
■賃金の減額計算の考え方。何に対する賃金なのか
週休3日あるいは4日を取った従業員の賃金は、記事によると2割カット、あるいは4割カットとなっています。今まで週5日勤務だった分を、働く日数分に調整する、という考え方のようです。
この考え方は確かに納得しやすいかもしれませんが、一方で重要な信念に支配されていると言えるでしょう。それは、働く時間によって賃金が決まる、という信念です。
現場・現業職のように、ある決められた時間、その場で仕事をすることが求められる職種であれば、この計算方法で大きな問題とならないでしょう。
なぜなら、働く時間によって、成果が左右され、それにより賃金が決まる、と考えられるからです。
しかし金融機関の業務の多くは、時間と成果が比例しない仕事です。むしろ、だからこそ、ある程度の希望に応じて、週休3日、4日勤務制度を使用できるのでしょう。
そうなると、例えば週休2日の人と週休3日の人が同じ成果を出しているにもかかわらず、賃金は週休2日の人の方が多い、という問題が発生することが想定されます。もちろん、後者の方が前者よりもベースとなる給与が高いということであれば、良いのですが、、、
もっと現実的な問題としては、週休2日で働いていた人が、週休3日にした。しかしながら、前と同じだけ成果を出すことができている、となった場合にどうするかというものですかね。評価を上げて、給与を25%アップとかできるのでしょうか。休みが増えて自己研鑽も進み、結果的に生産性が向上すれば、このようなことも起きそうです。
■まとめ
要するに、単純に週休3日、4日制度を導入するにとどまらず、人事考課制度や賃金の決定方法(この二つは明確に切り分けて考える必要があります)にも影響が出てくるであろうことが想定されます。
他の企業でも同様の制度を導入したいという場合には、他の制度との整合性をどうとるか考えなければなりませんね。一緒に考えさせていただきますので、ぜひご相談くださいませ。